「強欲な壺」と「天使の施し」はどちらが強いのか?片方だけ緩和されるとしたら?

 「強欲な壺」と「天使の施し」。どちらも言わずと知れた遊戯王屈指の強力な禁止カードである。
どちらも永遠に禁止から解除されることはないであろうパワーカードではあるが、今回はあえてこの2枚のうちどちらが強いのかを考えてみよう。
無駄話かもしれないけど、ほら、禁止カード1枚だけ使えるレギュレーションとか今後あるかもしれないし。




まず「強欲な壺」の効果は説明するまでもないが、シンプルに2枚ドロー。無条件に手札が1枚増える。

「天使の施し」は、3枚ドローして2枚捨てる。手札の増加は差し引き0であるものの、3枚のカードを見た上で手札を交換し質を高めることができ、さらに手札を捨てることで墓地アドバンテージも獲得できる。



さて、どちらが強いか、という表題にいきなり答えるが、これは言うまでもなく「天使の施し」である

現代の遊戯王においては、1枚のカードから大量のアドバンテージを生み出すことは容易だ。
モンスターを召喚し、その効果でサーチし、さらに特殊召喚、サーチ、リクルート…という流れで強力な盤面を形成するのは日常茶飯事だろう。

つまり、現代遊戯王で重要なのは単純な枚数よりもアドバンテージを生み出せる1枚のカードであり、ただ2枚ドローする「強欲な壺」よりも、3枚ドローした上で適切なカード1枚をキープできる「天使の施し」のほうが、有利に働くことが多いと考えられるのだ。3〜6枚めくって必要なカードを選べる「金満で謙虚な壺」が制限カードなことからも、その強力さは分かるだろう。

これは単に手札交換カードとしての「天使の施し」の優位点だが、このカードにはさらに墓地アドバンテージを獲得する能力もある。

手札の質を高めながら、墓地へ置くべきカードを墓地へ送ることができる。これにより、実質的なアドバンテージの量はほとんどの場合において「強欲な壺」を上回る。

墓地効果がほとんどなく、単純にパワーカードで枚数勝負を仕掛けるメタビート系のデッキでは、「強欲な壺」のほうが有効に使えるかもしれない。
だがおそらく、「「強欲な壺」を採用したメタビート」と「「天使の施し」を採用したその他のデッキ」では、後者のほうがデッキパワーの上昇幅は大きい。
なぜなら、メタビがドローするだけなら「強欲で金満な壺」でも同じだからだ。ターン1制限やそのターンのドロー制限などがない分柔軟性は上がるが、デッキの根幹の動きそのものに与える影響は小さい。しかし「天使の施し」は代替カードが存在しないと言っていい。「天使の施し」の捨てる効果により莫大な恩恵を受けるデッキは枚挙に暇がないだろう。
デッキに与える恩恵の大きさという点でも、「天使の施し」は優れている。



さて、では次に、「「強欲な壺」と「天使の施し」はどちらが緩和される可能性が高いか?」という問いを考えてみよう。

いや、どちらも文句なしのぶっ壊れパワーカードだから緩和の可能性なんて万に一つもないわけだが、仮に、わずかな可能性として、という思考実験と思ってほしい。



これも、おそらく「天使の施し」だと考えられる
いや、「天使の施し」のほうが強いと言ったのに「天使の施し」のほうが緩和されるのはおかしいだろ、と思うかも知れない。
しかし、俺の考えはこうだ。

「天使の施し」はパワーカードだが、「強欲な壺」はクソカードである。

俺はトレーディングカードゲームにおけるゲーム性は、構築・戦略・応酬の3つにあると考えている。
構築とは、デッキをどのように組むか。
戦略とは、デッキに入れたカードをどのようにプレイし、どのように勝つか。
応酬とは、相手の戦略をどのように防ぎ、自分の戦略を押し通すか。

この3つの要素がTCGの面白さであり、禁止指定されるカードはこのいずれかを否定するようなカードが多い。
例えば有名な禁止カードである「ラストバトル!」は、これを通すための構築は考える必要があるが、「このカードを通せば勝ててしまう」という点で戦略の工夫を否定しているし、そのデュエル中のカードの応酬も全否定してこのカード1枚に勝敗を委ねてしまう。
そういった理由で、このカードは禁止になっている。

その点でいうと、「天使の施し」は、構築については考える点はない。どんなデッキにもただ入れればいいだけだからだ。なんならデッキ枚数が1枚増えても良い。
しかし、戦略と応酬については考える余地がある。このカードは手札そのものは増えないし、捨てる手札は自分で選ぶからだ。何も考えずに発動するよりも、捨てたいカードや引き込みたいカードを絞り、時には温存して他のカードで回してから発動するほうが有利に働くだろう。また、墓地へ捨てるカードによって、相手の妨害を誘ったり、墓地効果で妨害を貫通したりと、相手との応酬にも関わってくる。

つまり、「天使の施し」が禁止カードなのは、どんなデッキにも入る万能さと、得られるアドバンテージの莫大さ故であり、つまるところ、めちゃくちゃパワーカードだからだ

翻って「強欲な壺」は、当然構築には寄与しない。入れればいいだけだ。
そして、戦略にも応酬にも関係がない。この効果は2枚ドローするだけであり、プレイヤーに介入できる要素はせいぜい事前にデッキ圧縮しておくか、デッキトップを操作するぐらいしかない。ほとんどの場合において、引いたらすぐ発動する以外にないだろう。
応酬に関しても、うらら避けをちょっと気にする必要があるぐらいで、発動側に考える余地はない。
すなわち、多少なりともプレイヤーの技術が介入する余地のある「天使の施し」と違って、「強欲な壺」は、TCGのゲーム性を全否定し、入れ得・引き得・撃ち得と三拍子揃った、先に引いたもん勝ちのクソカードなのだ


だから、今後遊戯王がめちゃくちゃインフレして、3ドロー2捨て程度のアドバンテージなら屁でもないぐらいになったら、「天使の施し」はもしかしたら緩和される可能性がなくはないかもしれない。だが、強欲な壺は、これを緩和することで遊戯王というゲームが面白くなる可能性がゼロだから、緩和はない。これが俺の結論だ。


…というわけで、何の身にもならない雑談でした。
なんか最近twitterがやばそうなのでブログでおしゃべりするリハビリでもしようかなと思って。
もしtwitterが完全に死んだらブログで細々とやっていく予定なので、よかったらよろしくね。

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