スマホゲームに対する任天堂・岩田社長の姿勢は矛盾していない

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任天堂とDeNAが業務提携を発表したが、一部の連中が「あれだけスマホゲーム批判してた岩田が手のひら返し」だの「ダブスタ」だの叩いてるのを見かけたのでインタビュー記事を引用しダブスタじゃないことを明らかにする。




2012年10月25日
第2四半期決算説明会 質疑応答
http://www.nintendo.co.jp/ir/library/events/121025qa/03.html
 私はソーシャルゲームの話と、スマートデバイスの影響の話を混ぜて語るのはまったく正しくないと思っていて、必ず分けて語るようにしていますが、スマートデバイスの存在は私たちにとってよい面も悪い面もあると思います。例えば先ほど「とびだせ どうぶつの森Direct」の話をしましたが、「とびだせ どうぶつの森Direct」で何が起こったかといいますと、どうぶつの森に興味はあるけど「Nintendo Direct」のことは知らない人が、ツイッターの中のタイムライン上に誰かが「どうぶつの森についてこんなことをやっているよ」と言って動画のリンクを一緒に貼り付けてくれたのを見て、そこに飛んでいくというようなことが、スマートフォン上で起きたのです。すると、そこにおいてスマートフォンは紛れもなく私たちの味方であって敵ではないわけです。一方で、「スマートフォンさえあればゲーム専用機なんて買わなくてもゲームは無料または85円で山のように遊べる。だからゲーム専用機なんかいらないんだ」ということをおっしゃる方もいるわけです。私たちは、「無料だとか85円では味わえない、圧倒的な面白さをお客様に提供できなければ、そもそも任天堂という会社の存在価値はないし、ゲーム専用機の存在価値はなくなってしまう」と思います。ただ、この議論というのは以前も申し上げたことがありますが、携帯電話でiモードが出るか出ないかぐらいの頃、「携帯電話でもアプリが動くようになります。ゲームもアプリのひとつです」という話があり、そして、「携帯電話でゲームができるようになったら、みんな実用品として携帯電話を持つのだから、携帯ゲーム機なんてなくなってしまう」ということをおっしゃる方がたくさんおられました。私たちもその頃、そのことをたくさん聞かれましたが、「私たちは携帯電話ではできないことをします」と申し上げて、その後、ニンテンドーDSがあのように花を開くということになったわけです。一方で、ニンテンドーDSはタッチスクリーンの新たな可能性を世の中に広く示し、結果スマートデバイスという新しいライバルを生んだとも言えます。そして、今スマートデバイスの脅威が語られているわけですが、「ああ、歴史は繰り返しているな」と思っていまして、私たちがやるべきことは「スマートデバイスではできないゲーム体験をお客様に提案すること」と、「スマートデバイスを敵とみなすのではなく、味方にする方法に対して積極的に取り組むこと」、この二つのことと考えています。(中略)「Miiverse」を通じて世の中のいろいろな人たちとつながりますので、「1人でもみんなでWii U」を楽しんでいただこうというのが、私たちが目指していることでして、それがこのスマートフォンやタブレットが普及した時代に私たちがやっていくべきことであり、スマートフォンやタブレットで過去に発売したソフトを販売することは私たちが優先すべきことではないと思っています。

ソシャゲの話とスマホの話は別
・任天堂にとってスマホは味方。敵ではない
・無料だとか85円では味わえない圧倒的な面白さを客に提供できなければ任天堂とゲーム機の存在価値はない
・iモードが出ても携帯ゲーム機がなくなることはなかった。スマホの脅威は「歴史は繰り返す」(=スマホのせいで携帯ゲーム機がなくなるとは考えていない)
・スマホやタブレットに過去作を移植することは優先事項ではない





2013年1月28日
昔楽しんだゲームの最新作を、親になっても安心して子どもに与えてもらえる、そんなビジネスがしたい ――岩田 聡・任天堂社長インタビュー
http://diamond.jp/articles/-/31082?page=6
――(前略)ところで、この原稿で言う「ソーシャルゲーム」は、「100円で買えるかもしれないと錯覚させて、大人でも子どもでも関係なく、最終的に10万円払わせる」ようなゲーム(ガチャシステム採用ゲーム)も指しています。岩田さんは決算説明会などでも、このようなことはしないと再三発言している事は承知であえて伺いますが、やりたいと思ったことは本当に一度もないのでしょうか? 
まったくないです。そういうビジネスは絶対に長続きしないと信じています。私はこのゲームビジネスをできなくなったら、他のことでお金を儲ければいいやとは思っていませんから。

「100円と錯覚させ最終的に10万円払わせるようなガチャシステム採用ゲーム」をやることはない
・そういう短期的な利益は長続きしない





2014/12/27
任天堂・岩田氏をゲストに送る「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」最終回――経営とは「コトとヒト」の両方について考える「最適化ゲーム」
http://www.4gamer.net/games/999/G999905/20141226033/index_4.html
川上氏: そういえば,よく「任天堂はスマートフォンにゲームを出すべきだ」みたいな話ってありますよね。僕的には「そんなのあり得ない!」と思っているんですけど,実際のところ,岩田さんはどうお考えなんですか? 
岩田氏: そうですねぇ。確かどこかのインタビューで川上さんが発言されていたと思うんですけど,川上さんは「スマートデバイスのプラットフォームの会社にはコンテンツの価値を高くする動機がない」ということをおっしゃっていたじゃないですか。「彼らにとって,コンテンツはあくまで客寄せなんだ」と。 
川上氏: はい。だって,実際そうだと思うんですよ。 
岩田氏: そのお話でいうとですね。私たちは,逆に「コンテンツを売りたいからプラットフォームを作ってる」んですよ。考え方がまったく違うんです。だから,そんな私たちからすると,世の中でコンテンツの価値がなくなる,低くなるというのが最悪の未来なわけです。 
川上氏: そうですよね。 
岩田氏: コンテンツの価値を守る動機があまりないプラットフォームに行って,そこでコンテンツの価値を保つのって,それはそれでものすごく大変な勝負だと思うんです。実際,音楽産業も映画産業も,自分達のコンテンツの価値を守るっていうことが,私見ですけれど,あまりうまくいっているようには見えなくて。 
川上氏: はい。 
岩田氏: でも,私はゲームの価値を守りたい。例えば,もっと安くしたらもっと売れるかもしれません。けれど,むやみに一回だけ遊んで二度と起動しないっていう人がたくさん出てくるよりは,「あれは本当に遊んだよなぁ」とか「今遊んでも面白いな」って言ってもらえることの方が,ずっと大切なんじゃないかって。そういうことを含めて,ゲームの価値をどうやったら維持できるのかってことを考えています。まぁ,それがね。私たちがやり方を変えていない大きな理由なんですけど。

・任天堂はコンテンツを売りたいからプラットフォームを作ってる
・コンテンツの価値がなくなるのは最悪
・コンテンツの価値を守る動機があまりないプラットフォーム(=スマホ)でコンテンツの価値を保つのは大変な勝負
・ゲームの価値を守りたい
・ゲームの価値をどうやったら維持できるかずっと考えている
・考えているので、やり方を変えていない





2015年3月17日
任天堂株式会社 株式会社ディー・エヌ・エー 業務・資本提携共同記者発表
http://www.nintendo.co.jp/corporate/release/2015/150317/index.html
岩田:もちろん、スマートデバイスが広く普及したことで、ゲーム専用機のハード普及が以前に比べて難しくなったという課題はありますが、ハード・ソフト一体型のビジネスモデルは現在も有効に機能していると認識しています。その意味では、私たちは、家庭用ゲーム専用機の未来を決して悲観視してはいません。
岩田:今日お集まりのみなさんの中には、「これまで任天堂は、スマートデバイスのゲームビジネスに対してずっと慎重な姿勢を崩さなかったはずなのに、どうして方針転換するのか?」ということを疑問に思われる方も多いと思います。昨年1月の経営方針説明会でも、「スマートデバイスの活用においてゲームコンテンツは禁じ手にしない」と申し上げたとおり、私は、スマートデバイスでゲームをつくることそのものに否定的だった訳ではありません 
岩田:スマートデバイスのゲームビジネスの世界では、非常に大きな収益をあげておられるコンテンツがいくつか目立っていますので、世間一般には「楽に儲かるビジネス」と認識されている面があるようですが、現実には、競争環境も激しく、持続的に成果を出されているコンテンツ供給者は、全体の中でほんの一握りというのが現状です。任天堂にとっても、少数の勝者の一員になれないのであれば、スマートデバイスでのソフトビジネスに参入する意味がありません 
岩田:一方で、IPが同じであるからといって、ゲーム専用機向けのタイトルをそのままスマートデバイスに移植することはしません。ゲーム専用機のコントローラーと、スマートデバイスのタッチスクリーンは、操作の特性、強み、弱みが大きく違いますから、ゲーム専用機の過去タイトルを単純にスマートデバイスに移植することは、一切予定していません。最高のプレイ体験をお届けできないのであれば、任天堂IPの価値に傷が付くだけにしかならないと考えているためです。これからの開発について申し上げれば、ゲーム専用機にはゲーム専用機向けのタイトルをこれまで通りしっかり開発し、スマートデバイス向けには、同じIPを活用するとしても、スマートデバイスのプレイスタイルに合わせた、全く別のゲームをつくることになります。スマートデバイス向けのゲームアプリについての詳細は、あらためてお知らせすることにしますので、続報をお待ちください。 
岩田:また、今回の協業には直接関係するわけではありませんが、誤解を受けることのないように、お話ししておきたいことがあります。任天堂がスマートデバイスでゲームビジネスを展開することにしたのは、ゲーム専用機ビジネスに対する情熱や展望を失ったからではありません。むしろ、どうやってスマートデバイスを活用するかを決めたことで、今まで以上にこれからのゲーム専用機ビジネスへの情熱や展望を持っています。ゲーム専用機に展開されている素晴らしい価値のあるゲームソフトについて、世界中のより多くのお客様に認知してもらうキッカケをつくるために、スマートデバイスを活用するこのアプローチが合理的だと考え、決断しました。 


・ゲーム機のビジネスは現在も有効に機能している
・スマホにゲームを作ること自体に否定的だったわけではない
・スマホは競争が激しいので勝てなければ参入する意味がない
・ゲーム機用の過去作をそのまま移植はしない
ゲーム機用ソフトも継続して開発する
・ゲーム機ビジネスをやめる気はない





こうして適切に読み取っていけば、岩田社長のスマホゲームに対する姿勢はまったく矛盾しておらず一貫していることが分かる。

岩田社長は、ソシャゲ特有のコンテンツ消費の早さやガチャ課金の危険性については否定的だったが、スマートフォンというプラットフォームそのものに否定的だったことはなく、スマホは味方とすら言っている。
「ただの過去作の移植」は出さないと言っているが、スマホにゲームを出さないとは一言も言っていないし、今まで慎重だった理由もコンテンツ価値の維持が難しいように思えたからであり、今回その答えが出せたとも語っている。

これらの発言を歪めて引用し(ストローマン論法)、ダブスタだの嘘つきだのと叩いた奴がいたというわけだ。けしからんねまったく。

それに、NXがいつ発売されるともWiiUの後継機だともまったく言っていないのに、勝手に思い込んで「WiiU撤退確定」とか騒いでる奴も勘弁してくれ。

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