遊戯王OCG2020年4月リミットレギュレーション雑感

2020年4月1日適用のリミットレギュレーションが公開された。
https://yu-gi-oh.jp/index.php?page=details&&id=773
今回はそれらのカードについて一つ一つ感想を言う記事です。



まずは変更をまとめてみよう。
(カッコ内は前回の規制)

【新禁止カード】

儀式魔人リリーサー(New)
守護竜エルピィ(New)
星杯の神子イヴ(New)

【新制限カード】

ABC-ドラゴン・バスター(New)
オルフェゴール・ガラテア(準制限)
オルフェゴール・ディヴェル(準制限)
ジャンク・スピーダー(New)
処刑人-マキュラ(エラッタ・禁止)
SPYRAL-ジーニアス(準制限)
発条空母ゼンマイティ(New)
ゼンマイマジシャン(New)
超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ(New)
TG ハイパー・ライブラリアン(New)
デビル・フランケン(New)
氷結界の龍 トリシューラ(New)
捕食植物ヴェルテ・アナコンダ(New)
捕食植物オフリス・スコーピオ(準制限)餅カエル(New)
リンクロス(New)
レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン(エラッタ・禁止)
簡易融合(New)
トリックスター・ライトステージ(New)
ブリリアント・フュージョン(New)
ユニオン格納庫(New)
真紅眼融合(New)
六武の門(New)

【新準制限カード】

D-HERO ディアボリックガイ(New)
ドラコネット(制限)
未界域のジャッカロープ(New)
未界域のネッシー(New)
継承の印(制限)

【制限解除カード】

トリックスター・キャンディナ(準制限)
灰流うらら(準制限)
ベビケラサウルス(準制限)
ユニコールの影霊衣(準制限)
レディ・デバッガー(準制限)



36枚ものカードに変更が加えられる大規模な改訂となった。
禁止カード3枚はすべて無制限からの一発禁止、制限カードも23枚中17枚が無制限からの制限指定になっている。
ここまで大きな改訂になった最大の理由は、マスタールール(2020年4月1日改訂版)におけるルール変更によってパワーアップするカードが増えるからだろう。
融合・シンクロ・エクシーズモンスターがメインモンスターゾーンに出せるようになったことで、多くのカードが10期以前の力を取り戻すことになる。
本来なら2月~3月に全国各地で行われる予定だったマスタールール改訂版準拠の対戦会などを通じてコナミ側が危険そうなカードを判断し、今回の改訂に反映するはずだったと思われるが、残念ながら新型コロナウイルスの影響でイベントが軒並み中止になってしまったため、今回はかなりざっくりと、危なさそうなカードを片っ端から規制する改訂になったものと思われる。

それでは個別のカードについて見ていこう。

「儀式魔人リリーサー」(無制限→禁止)

これはまあしょうがない。今期はリリーサードラグーンと呼ばれるコンボデッキで安定して先行からドラグーンとリリーサークラウソラスを並べて相手を制圧する戦術が問題となった。相手を一方的に封殺するこのカードが一発禁止は妥当だろう。儀式使いですら悲しむより納得しているほどだ。

「守護竜エルピィ」(無制限→禁止)

アガーペインだけでは駄目だった。ドラゴンリンクの重要なメインエンジンで、リンク先が合えば好きなドラゴン族をデッキから特殊召喚できた。エルピィが存在する限りドラゴンしか出せないという縛りはあるものの、リクルートするモンスターには効果無効や攻撃不能といった制約が一切なく、非常に便利だった。ただ、今回このカードが禁止された背景には、「レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン」が制限に緩和された点も大きく影響していると思われる。

「星杯の神子イヴ」(無制限→禁止)

シンクロ召喚成功時に星遺物をサーチ。墓地へ送られた時に星杯をリクルート。このカードだけで2アド稼ぐやべーやつ。更に星杯の守護竜をリクルートすれば墓地効果でバニラを蘇生できるので更に+1。ハリファに繋げれば更にドン。様々なデッキに潤滑油として採用されていたシンクロモンスターが禁止になった。正直なところ、ハリファイバーか神子イヴのどちらかは禁止になると予想していた。新ルールでシンクロ召喚もしやすくなるので仕方ないだろう。ただ、買ったばかりだったのでちょっと残念。500円ぐらいだったとはいえ…。

「ABC-ドラゴン・バスター」(無制限→制限)
「ユニオン格納庫」(無制限→制限)

ABC関連のカードが2枚制限に。ABCには詳しくないが、ドラゴンバスターを2体3体並べるのを危惧されたのだろうか。それともマシンナーズストラクと4月の新パックでユニオンが強化されるのを見越してだろうか。

「オルフェゴール・ガラテア」(準制限→制限)
「オルフェゴール・ディヴェル」(準制限→制限)

オルフェゴールのキーカード2枚が制限に。これは言うまでもなくギルスのせいだろう。なんで終末ダグレを規制したのにオルフェゴールを落としてトークン作れるギルスを出したんですかね…。

「ジャンク・スピーダー」(無制限→制限)
「TG ハイパー・ライブラリアン」(無制限→制限)
「氷結界の龍 トリシューラ」(無制限→制限)

ジャンク・スピーダーはシンクロンチューナーを可能な限りリクルートできるが、そのターンはシンクロしかできないという効果のシンクロモンスター。今までは前のターンにリンク先を確保しておかなければ動けないという理由でさしたる活躍も見られなかったが、今回のルール変更でいくらでも動けるようになってしまうということで話題になっていた。一発禁止もかくやと言われていたが、今回は制限止まりだった。元から2枚採用することはないカードだったので影響はほとんどないが、今回の制限指定はイエローカードみたいなものだろう。「今後ヤバかったら禁止にするから各自覚悟しといてください」みたいなコナミからのメッセージと受け取った。同様の理由で、ライブラとトリシュも制限に。

「処刑人-マキュラ」(エラッタ・禁止→制限)

まさかのエラッタ釈放。どこからでも墓地へ送られさえすればそのターンに何枚でも手札から罠が発動できるというルール効果だったが、フィールドから墓地へ送られた場合にのみ、そのターン1枚だけ手札から罠が発動できるという誘発効果に変更された。原作でも壁として戦闘破壊された時に命の綱を発動したシーンが印象的だったので、原作再現としては的確と言える。ただ実用性という点では天と地ほどの差がある。元々ドローソース連打に使われていたクソカードなので、使える罠が1枚だけになったのは妥当な変更だが、フィールドを経由しなければならなくなったことでおろかな埋葬は使えなくなり、コンボとしては難しくなった。幸い戦士族☆4ということで増援でサーチしたりサモプリで呼んだりはできるので、罠を多用するオルターガイストのようなデッキにアクセントとして採用するか、レベル4を生かして斬機デッキに採用し、運がよければ手札から斬機超階乗を使う程度になるだろうか。どちらにせよテーマ専用の強力な罠を有するテーマで検討されるだろう。

「SPYRAL-ジーニアス」(準制限→制限)

いやこいつは名誉制限カードでしょ…。むしろなんで緩和したんだ。同名ターン1がないせいで連打してループコンボ出来るイカれたカードなのでおとなしく制限になっててください。モルモラットが呼んでるぞ。


発条空母ゼンマイティ(無制限→制限)
ゼンマイマジシャン(無制限→制限)

2枚のゼンマイカードが制限に。新ルールでゼンマイがヤバいらしいという噂は聞いていたので先手を打った形だろう。なんか新ルールになるたびに規制されてない?こいつら。


超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ(無制限→制限)
捕食植物ヴェルテ・アナコンダ(無制限→制限)
真紅眼融合(無制限→制限)

今期の環境トップメタ、ドラグーンの関連カードが3枚同時に制限指定。ドラグーンデッキには構築不能になったリリーサードラグーン以外にドラグーンを連打するドラグーンビートと他テーマに出張採用した〇〇ドラグーンの2種類が環境に存在するが、どちらもパワーダウンすることになる。ドラグーンビートについては2枚目以降のドラグーンが出せなくなったことで継戦能力が落ち、出張ドラグーンは元々ピン採用のドラグーンとアナコンダは変わらないが真紅眼融合を素引きしてしまった場合にその後の展開が出来なくなる。ただ、今期ほどではないにせよ今後も環境に顔を見せることにはなるだろう。それだけドラグーンがパワーカードということだ。

デビル・フランケン(無制限→制限)

詳しくはないが、新ルールだとこいつ1枚からとんでもない展開が出来るらしい。というか現行ルールで既にデビフラ1枚から先行ワンキルするルートが存在している。新ルールで更に使いやすくなるシンプルなパワカなので制限もやむなしか。ちなみに、ロード・ウォリアーでリクルートできるのでハリファをこねくり回せば引けなくても出せます。


捕食植物オフリス・スコーピオ(準制限→制限)

新ルールで融合が強くなることが予想できるので、間接的に融合をサーチできるこのカードも先んじて規制を強めるということだろう。捕食使いはご愁傷様です。

餅カエル(無制限→制限)

新ルールでバハムート・シャークから呼び出すのが容易になり、展開次第では餅カエル2体と未来龍皇ホープが並ぶ盤面も作れたらしいので納得の規制。

リンクロス(無制限→制限)

ハリファをトークン2体にできるやべーやつ。ハリファが禁止になるならノータッチもありえたが、普通に制限になった。最新ブースターのカードなので流石に禁止にはできなかったのだろうが、これもイエローカードだ。

レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン(エラッタ・禁止→制限)

なんと今期はエラッタ枠が2個もあった。大幅に弱体化したマキュラとは違い、レダメはシンプルに同名ターン1制限がついただけで、効果そのものは一切の変更なく釈放された。これは非常に嬉しい変更と言える。一部の脱法ループコンボ以外でなら従来どおりの運用が可能なので、様々なドラゴン族デッキのエンジンとして働いてくれることだろう。俺もドラゴンメイドとヴァレットに入れる予定。

簡易融合(無制限→制限)

新ルールで使いやすくなったので規制。特に初手にミレニアム・アイズ・サクリファイスを出して相手の手札誘発を封じてから展開をスタートするといった芸当も可能になったので妥当だろう。

トリックスター・ライトステージ(無制限→制限)

トリックスターの万能サーチ。キャンディナ・キャロベインと共に出張セットとして採用されることが多かった。ライトステージはターン1がないせいでライトステージ→キャンディナ→ライトステージ→キャロベインと展開できてしまうのが強力だったために制限になったと思われる。なお、司法取引によりキャンディナは緩和された。

ブリリアント・フュージョン(無制限→制限)

デッキ融合が可能なジェムナイトの融合魔法。墓地肥やしもさることながら、ジェムナイト・セラフィを融合召喚することで召喚権を増やすことができる。新ルールで使いやすくなるために規制されたカードの1枚。

六武の門(無制限→制限)

六部のメインエンジン。六武衆の軍大将でサーチが可能であり、2枚揃えばループが可能になる。新ルールとはあまり関係がなさそうだが、念の為ということだろうか。

D-HERO ディアボリックガイ(無制限→準制限)

ディアボがまた準制限に。こいつ1枚増えるかどうかで全然違うからなあ…。新ルールとは直接関係ないが、元々強いカードなので念の為だろう。

ドラコネット(制限→準制限)

召喚時にバニラを呼び出すモンスター。バニラチューナーを呼ぶことで神子イヴに繋げる動きが強力だったが、当の神子イヴが禁止になったため緩和。こいつ自身はサイバースだが効果自体はサイバースとは微塵も関係ないのがポイント。

未界域のジャッカロープ(無制限→準制限)
未界域のネッシー(無制限→準制限)

海外では猛威を奮っていた未界域ことDanger!。環境トップではないのだが、中堅どころではあるため念の為っぽい規制。ところで海外では増G禁止らしい。そりゃ暴れるわ。


継承の印(制限→準制限)

墓地に同名が3枚いることを条件に使える早すぎた埋葬。ドゥロループに使われていた印象しかない。当のドゥローレンが制限なのでこのカードでループする余地はとっくになかったのだが、今頃になって緩和。忘れてたのかな。

トリックスター・キャンディナ(準制限→無制限)

ライトステージとの司法取引で解除。

灰流うらら(準制限→無制限)

まさかの灰流うららが制限解除。相手の展開を止める点では便利だが、こいつに関しては自分のターンに相手の増Gを止めてしまうことも出来るのが問題だった。環境にどんな影響が出るのか予想できない。それより全デッキに採用する余地があるのでカードが足りない!また高騰するぞこれ。せっかくレアコレで安くなったのに。

ベビケラサウルス(準制限→無制限)
ユニコールの影霊衣(準制限→無制限)

前回準制限に緩和されたが、特に環境に影響もなかったのでそのまま解除の2枚。

レディ・デバッガー(準制限→無制限)

サイバース族の重要なサーチャーが解除。主に転生炎獣で使われていたが、最近は(主にドラグーンのせいで)環境に顔を出すことも減っていた。今回ようやく解除されたのでサイバースデッキには朗報だろう。



総評

新ルールを意識した大幅改訂。ハリファイバーが生き残ったのは驚きだった。完全に禁止されるものとばかり思い込んでいたが、レアコレで2月に再録されたばかりなので流石になかったか。確か征竜もゴールドシリーズに再録されてから禁止されるまで1年ぐらいあったはずだし。
エラッタ枠が2枚もあったのにも驚いたが、そこにファイアウォール・ドラゴンがいないことにも驚きだった。あいつこそターン1つけて出所させてあげるべきカードだろうに…。あと蝶の短剣エルマも。
個人的にはヴァレットが完全に組み直しになったのがつらいが、それ以外は特に影響を受けたデッキはないので次の環境が楽しみだ。新型コロナが落ち着いたらまたショップのイベントに顔を出したい。
ところで、ラッシュデュエルに焔征竜ブラスターが描かれたイラストのカードが登場したことでブラスター緩和かと実しやかに囁かれていたが、全然そんなことなかったな。緩和されたらドラゴンメイドに採用しようと思ってたのに。



以上、2020年4月改訂の雑感でした。長い!疲れた!

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