遊戯王OCG 4月からのルール改訂について解説

4月からのルール改訂に伴う処理の変更が、3月16日に突然発表された。
https://www.yugioh-card.com/japan/notice/revision/#processing

処理の変更とは言ってしまえば裁定変更のことで、今までとは一部のカードの処理が変わるのだが、微妙に分かりにくい説明で混乱してる人も多いようなので解説しようと思う。

なお、今回の解説は事務局に直接問い合わせたわけではなく、公式サイトから読み取った自分の理解の範疇によるもののため、間違っていることがあるかもしれません。もしそのような箇所を見かけましたらコメントしてくれると幸いです。



まず、今回変更される処理は次の5つだ。

1:デッキ・エクストラデッキに(裏側で)戻ったモンスターの効果は発動しない。

2:特定の場所で発動する効果を持つモンスターの効果が発動する前にその場所を離れた場合、その効果は発動しない。

3:「○○するターン、自分は特殊召喚できない」などの誓約は、特殊召喚が無効にされた場合は特殊召喚していないものとして扱う。

4:「1ターンに1度しか特殊召喚できない」誓約を持つモンスターは、その特殊召喚が無効にされた場合同じターンに2度目の特殊召喚が可能。

5:罠モンスターは魔法・罠ゾーンを圧迫しない。


では順番に解説しよう。

1:デッキ・エクストラデッキに(裏側で)戻ったモンスターの効果は発動しない。

公式サイトにもあるように、「E・HERO アブソルートZero」を例とする。
融合・効果モンスター
星8/水属性/戦士族/攻2500/守2000
「HERO」と名のついたモンスター+水属性モンスター
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードの攻撃力は、フィールド上に表側表示で存在する
「E・HERO アブソルートZero」以外の
水属性モンスターの数×500ポイントアップする。
このカードがフィールド上から離れた時、
相手フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する。

今まで、アブソルートZeroは「強制脱出装置」などを受けてエクストラデッキに戻った場合、その誘発効果を発動することができた。しかし、今度からは発動自体が不可能になる(発動してから無効になるわけではないので注意)。



また、「ライトロード・モンク エイリン」について、
効果モンスター
星4/光属性/戦士族/攻1600/守1000
(1):このカードが守備表示モンスターを攻撃したダメージ計算前に発動する。
そのモンスターを持ち主のデッキに戻す。
(2):自分エンドフェイズに発動する。
自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。

今まで、エイリンで裏側表示のリバースモンスターを攻撃した場合、ダメージ計算前にリバースしたモンスターをデッキに戻してから、そのリバースモンスターの効果が発動するという処理になっていた。しかし、今度からはそのリバースモンスターの発動は不可能になる。

なお、「フィールドから離れた場合に発動する」モンスターをメインデッキに戻した場合効果が発動しないのは従来通り。

また、「テキストに記載がある場合はデッキに戻っても発動する」とされているが、現在そのようなテキストを持つカードは「ナーガ」のみ。このカードに関しては色々と特殊な処理が多いので一度調べてみることをおすすめする。

FAQ
Q:「フィールドで発動したモンスターの効果にチェーンして強制脱出装置を使ってEXデッキに戻せば無効になるの?」
A:なりません。一度発動してしまえば、その後発動したモンスターがどこへ行こうと効果が無効にはなりません。

Q:「表側表示でEXデッキに送られたPモンスターの効果は発動しないの?」
A:発動します。今回の変更はあくまで裏側でEXデッキに戻った場合の処理です。

2:特定の場所で発動する効果を持つモンスターの効果が発動する前にその場所を離れた場合、その効果は発動しない。

公式サイトによると、召喚に成功した場合に発動する効果はフィールドで、墓地へ送られた場合に発動する効果は墓地で発動する効果とされる。それらの効果が発動する前にその場所を離れた場合、その効果が発動しなくなる。
公式サイトと同様に「クリッター」を例とする。
効果モンスター
星3/闇属性/悪魔族/攻1000/守 600
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動する。
デッキから攻撃力1500以下のモンスター1体を手札に加える。
このターン、自分はこの効果で手札に加えたカード及びその同名カードの発動ができない。

「死のデッキ破壊ウイルス」
通常罠
(1):自分フィールドの攻撃力1000以下の闇属性モンスター1体をリリースして発動できる。
相手フィールドのモンスター及び相手の手札を全て確認し、
その内の攻撃力1500以上のモンスターを全て破壊する。
その後、相手はデッキから攻撃力1500以上のモンスターを3体まで選んで破壊できる。
このカードの発動後、次のターンの終了時まで相手が受ける全てのダメージは0になる。

「D.D.クロウ」
効果モンスター
星1/闇属性/鳥獣族/攻 100/守 100
(1):このカードを手札から墓地へ捨て、
相手の墓地のカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを除外する。
この効果は相手ターンでも発動できる。

・チェーン1:自分が「死のデッキ破壊ウイルス」を発動。コストは「クリッター」。
・チェーン2:相手が「D.D.クロウ」を発動。対象は自分の墓地の「クリッター」。
逆順処理により、
・チェーン2の「D.D.クロウ」の効果を処理。自分の墓地の「クリッター」が除外される。
・チェーン1の「死のデッキ破壊ウイルス」の効果を処理。相手のフィールド・手札・デッキから攻撃力1500以上のモンスターを破壊。

この例だと、一連のチェーンブロックの間で、クリッターが墓地へ送られ、そのまま除外されている。従来のルールではこのチェーン処理後にあらためてクリッターの効果が墓地で発動していたが、今後は発動自体しなくなる



次に、相手の「ハーピィの羽根帚」にチェーンして「リビングデッドの呼び声」で「アーティファクト-モラルタ」を特殊召喚した場合の処理を考える。

「ハーピィの羽根帚」
通常魔法(制限カード)
(1):相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。

「リビングデッドの呼び声」
永続罠
(1):自分の墓地のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。
そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。
このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。
そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。

「アーティファクト-モラルタ」
効果モンスター
星5/光属性/天使族/攻2100/守1400
(1):このカードは魔法カード扱いとして手札から魔法&罠ゾーンにセットできる。
(2):魔法&罠ゾーンにセットされたこのカードが
相手ターンに破壊され墓地へ送られた場合に発動する。
このカードを特殊召喚する。
(3):相手ターンに、このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。
相手フィールドの表側表示のカード1枚を選んで破壊する。

・チェーン1:相手が「ハーピィの羽根帚」を発動。
・チェーン2:自分はセットされた「リビングデッドの呼び声」を発動。対象は自分の墓地の「アーティファクト-モラルタ」。
逆順処理により、
・チェーン2の「リビングデッドの呼び声」の効果を処理。自分フィールドに「アーティファクト-モラルタ」が特殊召喚される。
・チェーン1の「ハーピィの羽根帚」の効果を処理。自分フィールドの「リビングデッドの呼び声」が破壊され、その効果により「アーティファクト-モラルタ」も即座に破壊される。

この例だと、一連のチェーンブロックの中でモラルタが特殊召喚され、そのまま破壊されている。従来のルールではこのチェーン処理後にあらためてモラルタの効果が発動していたが、今後は発動自体しなくなる



なお、「リバースした場合」の効果については、おそらくフィールドで発動する効果として扱われるものと思われるが裁定待ち。(その場合、硫酸のたまった落とし穴でリバースモンスターを表にしてから破壊した場合その効果が発動しないことになってしまう)

また、自身以外のカードが特定の場所に存在する場合に発動できるカード(例えば転生炎獣カードが墓地へ送られた場合に手札から発動できる転生炎獣ガゼル)が、発動する前にトリガーとなったカードがその場所を離れた場合にその効果を発動できるかどうかも裁定待ち。公式サイトに載ってないから多分変更はないと思うが聞いてみないことにはわからん。


FAQ
Q:「クリッターの効果にチェーンしてDDクロウで除外すれば無効になるの?」
A:なりません。一度発動してしまえば、その後発動したモンスターがどこへ行こうと効果が無効にはなりません。

Q:「相手がクリッターを素材としたリンク召喚成功時に自分がDDクロウを使えばクリッターの効果が発動しないようにできるの?」
A:できません。クリッターのような誘発効果は、そのタイミングで優先的に発動します。この場合、リンク召喚成功時にまず最初にクリッターの効果が発動し、それにチェーンする形でしかDDクロウは発動できません。

Q:「じゃあ、相手がクリッターと黒き森のウィッチの2体を素材にリンク召喚したとき、相手がクリッターの効果を発動したら、それにチェーンしてDDクロウを使うことで黒き森のウィッチの効果発動は阻止できるの?」
A:できません。同じタイミングで複数の誘発効果が発動した場合、それらの効果で優先的にチェーンを組んで発動します。この場合、まず相手がクリッターと黒き森のウィッチの効果をチェーンを組んで発動し(どちらも強制効果なので順番は相手が自由に選ぶ)、それにチェーンする形でしかDDクロウは発動できません。

Q:「DDクロウって強いの?」
A:サイドデッキには入れたい。



3:「○○するターン、自分は特殊召喚できない」などの誓約は、特殊召喚が無効にされた場合は特殊召喚していないものとして扱う。

今まで、自分の特殊召喚が相手の「神の宣告」等によって無効にされても、特殊召喚自体は行った扱いとなり、「この効果を発動するターン、自分は特殊召喚できない」という誓約を持つ効果は発動できなかった。しかし、今度からは発動が可能になる。
「無効にされたんだから特殊召喚してない」という、直感的に分かりやすい処理になった。



なお、「この効果を発動するターン、自分は特殊召喚できない」誓約を持つ効果の発動が無効にされた場合、その後の特殊召喚ができるのは従来どおり。
(例:「強欲で謙虚な壺」の発動を「神の宣告」で無効にされたあとで、自分は特殊召喚できる。)

その効果が無効にされた場合特殊召喚できないのも従来どおり。
(例:「強欲で謙虚な壺」の効果を「灰流うらら」で無効にされたあとで、自分は特殊召喚できない)

4:「1ターンに1度しか特殊召喚できない」誓約を持つモンスターは、その特殊召喚が無効にされた場合同じターンに2度目の特殊召喚が可能。

3とほぼ同様なので省略。



なお、「このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない」誓約を持つ効果の発動や効果が無効にされても、使用した扱いではあるため2度目の発動は不可能。

「このカード名のカードは1ターンに1度しか発動できない」誓約を持つ魔法・罠カードは発動が無効にされた場合2枚目の発動が可能。

その効果が無効にされた場合2度目の発動は不可能。

5:罠モンスターは魔法・罠ゾーンを圧迫しない。

発動後にモンスターとして特殊召喚されるタイプの罠カード群、通称罠モンスターについて。
これらのカードはモンスターとしても罠カードとしても扱うという性質上、発動時に存在していた魔法罠ゾーンはそのカードがモンスターゾーンにある限り使用不能という裁定になっていた。しかし、今度からは魔法罠ゾーンが使用不能になることはなくなる。

今までも、罠カード扱いではありながらも魔法罠ゾーンに存在している扱いではないため、モンスターゾーンの罠モンスターを「トルネード」のような「魔法罠ゾーンのカードを対象とする」効果の対象とすることはできなかった。魔法罠ゾーンに存在しているわけではないのにそのゾーンを占有するというのもおかしな話であったため、直感的な処理に変更されたということだろう。

なお、「フィールドの魔法・罠カードを対象とする」効果を持つ「サイクロン」などのカードは、従来通りモンスターゾーンの罠モンスターを対象とすることができる。

従来の処理では、モンスターゾーンの罠モンスターが「月の書」などの効果を受けて裏側守備表示になった場合占有していた魔法罠ゾーンに戻るという裁定だったが、今後どうなるかは裁定待ち。




以上、分かる範囲での解説でした。何か質問やご指摘あればコメントしてくれると嬉しいです。

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